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総合テーマ:

「より良いビジネスを通してより良い世界へ」

 企業は、世界経済とすべての人々の幸福にとって最も影響力があり、不可欠な存在であると考えます。古くから、生活、環境、経済の安定はすべてビジネスに依存してきました。しかしながら、多くの企業はCOVIDの期間中、規模の大小にかかわらず、経済的あるいは物理的な被害を受けました。その直接的な影響は、世界中の多くの個人の生活と生計に及んでいます。このような混乱は、持続可能で倫理的かつ安全な、より強靭なビジネスのために対処されなければなりません。多くの人に多大な影響を与える企業は、社会にポジティブな影響を与える力と責任を持っています。そして現在はこれまで以上に官民パートナーシップの強化の必要性が感じられています。

 企業は必ずしも持続可能なグローバル経済への転換を主導する必要はないと考えます。現在行われている持続可能社会へのゆっくりとした転換を継続するまたは現状を維持することを利点とするまたは持続可能性に向けての転換を遅らせることも選択肢の1つです。17の持続可能な開発目標とその169の構成目標は、貧困がなく、地球が守られ、すべての人々が平和と繁栄を享受できるような、多くの人々が望む未来を築くために、ボトムアップ方式で設計されています。目標は主に社会と環境の2つの分野に分かれています。社会的目標の中には、基本的なニーズを満たすことを目的としたものもあり、極度の貧困と飢餓に終止符を打ち、医療、清潔な水、衛生設備への普遍的なアクセスを確保することが含まれます。また、質の高い教育、男女平等、雇用とディーセント・ワーク、格差の是正、産業とインフラの革新を通じて人々に力を与え、人々が繁栄し、価値を感じられるようにすることで、その他の人権を向上させるための目標もあります。

 

 我々は17の持続可能な開発目標は17個が揃って1つの大きな目標であると考えます。そのため環境目標と社会目標はともに存在することで初めて達成されるものであると考えます。例えば、多くの貧しい人々の生活は「自然資源」に依存しているため、「自然資本」を保護することなく貧困を撲滅しようとする努力は、失敗に終わってしまうことが予想されます。逆に、温暖化防止と持続可能な開発に向けた前進は、世界の経済システムを「再起動」させ、通常の企業活動を本質的に持続可能で、社会的に公正で、環境的に安定したものにすると考えられます。

 

 これらの考えを受け、第70回国際学生会議(ISC70)では、世界各地から次世代を担う学生を招き、会議を通じて参加者が成長し、世界を革新する潜在的な方法を積極的に発見し、共通の目標に向かって集団的かつ有意義な行動をとることを目標としています。国際社会が 「人と地球の平和と繁栄」に向けてどのように取り組んでいるかを考えると、これからのグローバル社会は、多様なコミュニティと尊重の価値観の中で、誰もが持続可能について考えるべきであると思われます。

より充実したビジネスは、より強固なコミュニティにもつながると考えます。この考えに基づけば、強靭な社会を実現するというビジョンも実現できると考えます。ISC70では、若者たちは企業と交流し、学び、彼らの政策提言が実際にどのような意味を持つのかを観察することができる場を提供します。若者がビジネスの機能をより認識するようになるだけでなく、若者が社会における自分たちの役割についてどのように考え、何を考えているかを企業が学ぶことを可能にすることを目標とします

​テーブルトピック

T1

サステナビリティ

より環境に配慮した世界へ

トピック概要:

   気候変動や環境問題が訴えられる今、企業は変革的な役割を果たすことが求められている。持続可能性をビジネスプラクティスに取り入れるには、単なるコンプライアンスを超えて、人・地球・利益の三つの最低限を受け入れる必要がある。グローバル社会である現代では、世界は地球温暖化、公害、資源の枯渇など、前代未聞の環境問題に数多く直面している。産業界のリーダーとして、企業はどのようにすればこのような課題を乗り越え、経済的に成功すると同時に、環境問題の責任と真正面から向き合う主導者に成長できるのだろうか。このトピックを通して、企業が単に利益を追求するだけでなく、環境に良い影響を与えるという責務を果たすという、現在の時代における極めて重要な転換を催促する。

 

問題の例:

   地球温暖化/プラスチック汚染/大気汚染/森林伐採/化石燃料や鉱物の過剰採掘/生息地の破壊による生物多様性の喪失

 

想定される解決策や成果:

   循環型経済への移行/再生可能エネルギーの使用と生産/カーボンフットプリントの最小化/伝統的に非グリーン産業における環境に優しい代替技術の採用

職場におけるウェルビーイング

現代の職場におけるバランスの取り方

T2

トピック概要:

   近年、「職場」の捉え方に変化が起きている。職場はもはや単なる作業の場ではなく、個人が人生の大部分を過ごす空間といえる。進化し続ける仕事の風景にこのような認識が芽生えるにつれ、労働条件が身体的・精神的健康の両方を含む従業員のウェルビーイングに多大な影響を与えることも認識されるようになった。それにより、企業がこの概念にどのように優先順位をつけ、アプローチするという事に、ますますスポットライトが当たるようになっている。身体的健康と精神的健康の両方に対応する環境を作るには、ビジネス的探究と従業員への適切なサポートの間で微妙なバランスを取る必要がある。このトピックはこのバランスを取ることを目的とし、状況を分析することで、ますます厳しくなる競争市場において職場の健康を守るための実現可能な解決策を提案する。

 

問題の例:

   長時間の座り仕事/残業/社内の健康意識向上不足/保守的な環境・社会で健康問題をオープンにすることの難しさ/従業員にかかる過度なプレッシャーと責任/リモートワークの課題

 

想定される解決策や成果:

   ウェルネス・プログラムを通じて心身の健康を提唱する/充実した休憩所を設ける/簡単にアクセスできるカウンセリング・サービスを提供する/定期的に健康診断を実施する/フレキシブルなワーク・スケジュールを提供する

T3

資本主義の乱気流を乗り切る
ダイナミックなビジネス環境の中での成功

トピック概要:

   資本主義には、企業が適応し、厳しい競争に取り組むという絶え間ない挑戦が伴う。この時代に企業が生き残り成功するためには、単に現状を維持するだけでなく、イノベーションを受け入れ、起業家精神を育むことが不可欠である。地政学的な変化や景気変動、急速な技術の進歩、予期せぬ世界的な出来事など、ダイナミックなビジネス環境は、企業に効率的かつ効果的な調整を促している。このような激しい変化に対して、どのように向き合っていくのが最善なのだろうか。急速に変化する市場力学、突発的な世界的出来事、加速する世界を予測するために、どのような戦略が利用できるのか。長期的な成功を確保し続けるためには、どのような革新的アプローチや起業家的戦略が必要なのか。このトピックでは、資本主義の厳しい本質を掘り下げ、現代のビジネス界に足を踏み入れ、様々なジレンマを深く掘り下げていく。

 

問題の例:

   激しい競争/急速に変化する市場の力学と需要/予期せぬ世界的出来事への取り組み/現代社会でビジネスを行う際に考慮すべき要因の増加/長期的成功の不確実性の高まり

 

想定される解決策や成果: 

   発生する課題に適応するための柔軟な計画/革新的で起業家的な精神の積極的な育成/新しい解決策に対するオープンな視点/資本主義ビジネス界の大規模な理解

AIのジレンマ

ビジネスにおける機会、リスク、そして責任

T4

トピック概要:

     重要なビジネス機能への使用が加速し続けているAI。消費者行動を予測する機械学習アルゴリズムから、AI主導のサイバーセキュリティ・ツールまで、企業は大量の機密データや機能をこれらのシステムに託している。AIがビジネスの展望を形作る強力な力となり続けることは否定できない。しかし、明白な危険性を認識することは不可欠であり、大きな力には大きな責任が伴うことを忘れてはいけない。セキュリティや倫理、ポリシーといった分野において、この進化するツールに伴う様々なリスクを企業が認識することは、これまで以上に極めて重要である。企業は、安全かつ責任ある活用を確保しつつ、AIとテクノロジーがビジネスにもたらす利点を最大化するために、状況に適切に対処していかなければならない。

 

問題の例:

     プライバシーに関する倫理的配慮/AIアルゴリズムに永続する偏見/AIの利用に関する政策と規制/セキュリティと機密情報の委託に関する懸念/AIが使用される場合の透明性

 

想定される解決策や成果: 

 プライバシーに関する懸念への対応とそのような懸念をどのように考慮するかについての方法/AIを「統治」するための実現可能な政策/責任ある利用を保証するための倫理的ガイドライン/セキュリティの向上と改良

T5

教育に力を

貢献と影響力の要請に応える

トピック概要:

 急速に変化する今日の世界で求められる基礎を踏まえた発展的学習が普遍化するとともに、雇用市場の要求が進化する中で、私たちは、そのような優秀な人材を一ビジネスマンへと育成する責任は誰にあるのか考えなければならない。企業はますます、教育エコシステムへの貢献の価値を認識しつつある。単純な財政支援にとどまらず、企業が教育に与える潜在的な影響は多面的で影響力がある。企業は、教育機関との積極的な協力関係、イノベーション、戦略的イニシアティブなどの機会を通じて、教育の現場に大きく貢献する能力を有している。教育や仕事において、乖離する傾向にある理論と実践を繋ぎ、教育領域における実践的学習を企業がさらに促進する事は、どのように貢献できるかを考える。

 

問題の例:

 教育と企業のコラボレーションにおける双方向のメリットに対する認識の欠如/長期にわたる可能性のあるプロジェクトに対する障壁やリスクの認識/フレームワークや前提モデルの欠如/このようなプロジェクトを実施する際のリターンの可視化が困難/競争市場の優先順位

 

想定される解決策や成果: 

 プロジェクトを実施することによる相互のメリットを強調/コラボレーションを促進するためのネットワーキングの機会を設ける

ダイバーシティ・ダイナミクス

進化する職場の包括性

T6

トピック概要:

 社会が発展するにつれ、多様で包括的な職場は倫理原則を反映するだけでなく、創造性や革新性、そして全体的な成功の向上に寄与するという認識も高まっている。一昔前に比べ職場平等の状況改善は前進した一方、課題も残っている。男性優位の企業体質、グローバル経済の発展に伴う包括的な文化の欠如、未だに見られる男性の育児休暇に対する偏見など、これらは現在進行中の分野のほんの一例に過ぎない。企業内の多様性を真の意味で理解し包括するには、深い考慮が必要であり、未解決の問題に取り組むための協調的な努力が必要である。かつてないほどの協力が求められる世の中で、職場の一人一人に平等な機会を促進し、提供するにはどうすればいいのだろうか。

 

問題の例:

 女性が昇進の階段を上る事を阻む障壁/十分な政策の欠如や偏見による育児休暇取得の難しさ/異なる文化的背景を持つ個人の受け入れが不十分/異文化コミュニケーション能力を培うための支援不足/無意識の(あるいは意識的な)偏見に基づく重要な意思決定

 

想定される解決策や成果: 

 キャリアアップの機会均等を推進・提供/出世を望む人を支援するメンターシップ・プログラムを実施/育児(育児休暇)休暇を積極的に奨励/異文化コミュニケーションのための研修を提供/プロジェクトやワークショップの積極的な実施

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